昔から「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」なんて言われていますが、実際はどうなのでしょうか。ダウと日経平均株価の相関関係を調べてみました。
年間騰落率でみた相関関係
まずは、1年間の騰落率を散布図にしてみました。横軸が日経平均株価の騰落率で、縦軸がダウの騰落率です。例えば、一番右端にあるポイントの場合、日経平均が+119.1%、ダウが+8.4%で、これは1954年の年間騰落率になります。
散布図の縦横0%の線で4分割すると、右上が「ダウ、日経平均ともにプラス」、右下が「ダウがマイナス、日経平均がプラス」、左下が「ダウ、日経平均ともにマイナス」、左上が「ダウがプラス、日経平均がマイナス」となります。
オレンジの線は、近似直線といって点の場所の傾向を示す線となります。R2(※2は二乗)は決定係数といって、近似曲線の信頼度を示す数値となります。決定係数は、相関係数の二乗とイコールで、値は0~1の範囲に収まります。1に近づくほど信頼性が高く、線の近くに点があることになります。
決定係数の説明からしましたが、相関係数という言葉の方がよく聞くかもしれません。相関係数の値は、-1~1の範囲に収まり、相関の強さは一般的に次のようにいわれています。
相関係数 | 相関の強さ |
---|---|
0.0 ~ ±0.2 | ほとんど相関がない |
±0.2 ~ ±0.4 | 弱い相関がある |
±0.4 ~ ±0.7 | 相関がある |
±0.7 ~ ±1.0 | 強い相関がある |
ダウと日経平均の1年間の騰落率の相関係数は「0.276」となり、「弱い相関がある」ということになります。相関がないともいえないですが、散布図を見てのとおり、点はかなりバラついていますので、1年というスパンでみた場合、お互いが与え合う影響より個別の影響の方が強いといえるかもしれないです。
月間騰落率でみた相関関係
では、1月ごとの騰落率でみた場合どうでしょうか。2000年以降で調べてみました。
1年間の場合と比べて、オレンジの線に近いところに点があります。月間騰落率でみた場合の相関係数は、0.575と「相関がある」といわれる値になっています。
ちなみに、他と大きく離れて左下にある点は、リーマンショック後の2008年10月です。ダウが14.06%下落したのに対して、日経平均は23.83%も下落しています。まさに「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」でしょうか。当時の感覚としては、くしゃみどころではなかったと思いますが。
ダウと翌営業日の日経平均の相関関係
月ごとでみると、そこそこ相関関係があるという結果になりましたが、もっと短いスパンでみるとどうでしょうか。ダウとその翌営業日の日経平均の散布図を、2019年のデータで作ってみました。例えば、月曜のダウの場合は火曜日の日経平均、金曜のダウの場合は月曜の日経平均という感じです。祝日など、どちらかの市場が休みの場合は除いています。
相関係数は「0.570」となっています。もっと強い相関がみられるのかと思いましたが、月ごとで比べた場合とほぼ同じです。日経平均は前日のダウに合わせるようにして始まると思いますが、その後の値動きで、反発することもありますし、終値でみると前日のダウと違ってくることも多いのかと思います。
さいごに
ということで、日経平均とダウの相関関係を調べてみました。ある程度イメージしていたような結果でしたが、月間でみた場合とダウと翌営業日の日経平均でみた場合で、相関係数があまり変わっていなかったのは少し意外でした。
お互いの株価に相関関係があるのは当然かもしれませんが、「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」のとおり、アメリカが日本に与える影響は大きいですが、逆はそれほどないというのが実際のところかもしれません。東日本大震災に見舞われた2011年の年間騰落率は、日経平均が-17.3%なのに対して、ダウは+5.5%でした。
今回はダウとの相関関係をみてみましたが、為替や資源価格など日経平均に影響を与える指標はたくさんありますので、常にアンテナを高くしておきたいです。