米国債10年-2年 金利差(スプレッド) チャート

米国債の「10年物国債利回り」から「2年物国債利回り」を引いた金利差(イールドスプレッド、利回り格差)は、FRB(連邦準備制度理事会)が政策金利(フェデラルファンド金利)を決定する際にも意識されているといわれています。

通常、長期金利(10年)> 短期金利(2年) という関係が成り立ちますが、短期金利が長期金利を上回る(逆イールド)と、景気後退の前兆として注目されるからです。

米国債10年-2年 金利差(スプレッド)チャート(長期)

グレーの期間が景気の後退局面になります。2001年のドットコムバブル崩壊、2008~2009年のリーマンショック、2020年のコロナショックなどの景気後退は、この指標がマイナスになった後か同じくらいのタイミングで起きています。コロナの場合は、タイミングがあっただけという気もしますが。。

チャートの意味

ということで、一般的に以下のようになります。

値がプラス(正) → 通常の状態(順イールド)

 → 長期金利(10年債)が短期金利(2年債)よりも高い(正常な経済環境)

値がマイナス(負) → 逆イールド(イールドカーブの逆転)

 → 長期金利(10年債)が短期金利(2年債)よりも低い(景気後退のサイン)

一般的に、お金を長く貸すほどリスクが大きくなるので、より高い利回り(リターン)が得られます。つまり、長期金利の方が高くなります。住宅ローンのフラット35も借入期間が長いほど金利も高くなっていますね。

ただ、先行きに不安があり、今後金利が下がるだろうと思うと、今のうちに長い期間貸そうと思う心理が働き、結果長期の金利が下がることになります。それが極端になると長期金利の方が低くなる場合もあるということです。

では、政策金利(フェデラルファンド金利)との関係性はどうなっているのでしょうか?

「米国債10年-2年スプレッド」と「政策金利」(10年間)

青が「米国債10年-2年スプレッド」で左軸、オレンジが「政策金利」で右軸となります。

2019年に逆イールドに近い状態となり、同じタイミングで政策金利を下げています。この時期に新型コロナウイルスの流行がありましたので、逆イールドが主要因ではないかと思いますが。。

ただ、2022年頃に逆イールドになったときは違った対応をしています。政策金利を急激に上げ続けたのです。結果逆イールドの度合いは強まっています。この時、政策金利を上げ続けたのは、インフレを抑えるためだといわれています。2021年後半からインフレ率が急上昇し、2022年には9%近い記録的なインフレに達していますので、インフレ抑制のため金融の引き締めに向かったのです。

FRBの主な目標は、物価の安定(インフレ抑制)、雇用の最大化(景気の安定)といわれています。両方のバランスを見ながらの舵取りになりますので、「米国債10年-2年スプレッド」と「政策金利」は完全に相関するわけではありません。FRBの政策決定の一要素として考慮される、という位置づけでしょうか。

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